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GOSATシリーズ衛星観測

The Role of Satellite Observations in Accurate Emission Estimation

GOSATシリーズ衛星観測

宇宙からの衛星観測データを用いた導出には世界的に大きな期待が寄せられています。特に、各国が自ら設定する排出削減目標(Nationally Determined Contributions, NDC)を適切かつ野心的に目標設定する上で必要となる「現状の排出量の正確な把握」に重要な貢献となります。

従来も、気候変動に関する国際連合枠組条約並びに関連する締約国会議の決定に基づき、温室効果ガスの排出・吸収量を算定し公表してきました。こうした算定値を「ボトムアップ」推計といいますが、このボトムアップ推計の排出インベントリには課題があります。一つは「値の正確さ」で、温室効果ガスの種類による不確実性や、それぞれの国のインベントリ技術による不確実性によるものです。もう一つは「タイムラグ」で、「ボトムアップ」推計インベントリの作成には公式統計値が使われるため年単位の時間がかかる点です。

例えば、我が国では2021年4月に2019年度版の算定値が公表されていますが(環境省・国立環境研究所, 2021)、こうしたボトムアップ推計と相補的な役割を果たしうるのが、衛星データに代表される大気観測データを使った「トップダウン推計」であり、近年では大気観測データが準リアルタイムの速度で配信されるようになったこともあり、その迅速性に大きな期待が寄せられています。

直近の排出インベントリを迅速に構築することは、将来シナリオの「基準年」としてのみならず、過去に作成したシナリオの妥当性「検証」にも重要であり、グローバルストックテイクでは削減対策効果を迅速に検証して次の対策に活かす上で非常に重要です(Janssens-Maenhout et al., 2020)。