領域長あいさつ

tanimoto

人間の住む地球の表層には大気や海洋、そして陸域があり、これらの環境を環境を保全することは持続可能な人間社会をつくる上で欠かすことができません。しかし近年、人間活動に起因する気候変動により、世界の陸域および海上の気温は長期的に上昇を続けています。将来には、海面上昇や大雨の頻度増加に加え、熱波や干ばつの被害を受けやすい国や地域では食料生産への深刻な影響も懸念されています。

2015年に気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」が採択され、世界各国は温室効果ガスの削減に向けて対策をいっそう進めることが求められています。日本においても、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標が掲げられ、衆議院および参議院で「気候非常事態宣言」の決議が採択されました。

こうした状況を背景に、地球システム領域は国立環境研究所第5期中長期計画の開始に伴い、2021年4月に発足しました。2026年4月より始動した第6期中長期計画では、気候変動の緩和と地球規模の大気汚染改善に向けた研究を一層推進し、国際的な気候政策の科学的基盤を提供することで、大気質改善と気候安定化を通じて1.5℃目標の実現に貢献することを目指します。

また、1990年に発足し、長期モニタリングやデータベース整備を担う知的研究基盤である「地球環境研究センター」、さらに、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)シリーズを運用する「衛星観測センター」とも密接に連携し、研究の高度化を進めます。

私たち地球システム領域は「有言実行」を掲げ、地球環境保全に資する研究を専門的に行う研究者集団として、気候非常事態を乗り越え、持続可能な地球環境を実現に向けて最新の科学的知見をもって貢献していきます。

研究活動や成果はこれまで以上に迅速に幅広く発信していきます。また、科学的知見やデータについては国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)等の国際枠組みに対しても積極的に提供します。

こうした取り組みを通じて、持続可能な地球環境と人間社会の実現に寄与していく所存です

2026年4月 谷本 浩志